三原 健一(みはら けんいち)
e-mail: kmihara@lang.osaka-u.ac.jp

(1)自己紹介
 専門は理論言語学で、チョムスキーという人の開発した生成文法理論という枠組みを武器に、日本語・英語・スペイン語などの分析をやっています。しかし、実は隠れ日本語学ファンでもあります。趣味は音楽(を聴くこと)。以前はカントリー系音楽(特にブルーグラス)の専門家と称していましたが、10年ほど前から突然クラシックに転向しました。梅田の「タワーレコード」によく出没します。音楽の他には「歩く」ことも大好き。週末はたいてい歩いていますが、30キロくらいなら(今のところ)大丈夫です。歩いた後、暖簾の汚い居酒屋で飲むビールは最高です!

(2)推薦図書
《1》萩原裕子『脳にいどむ言語学』(岩波書店: 岩波科学ライブラリー59)1000円

 生成文法はかなり自然科学的な色彩のある理論で、文学部や外国語学部の科目として開講されてはいますが、文学との接点はあまりなく、むしろ生物学や子供の言語習得、あるいは情報処理などといった分野に興味を持っています。そして、最近注目されているのが脳科学との関連です。相手の話を聞いて理解する、人に自分の考えを伝える、といった言語活動はの中で行われるわけですが、人間の言語脳がいったいどのような仕組みになっているのか、この本を読むとそのことがよ〜く分かります。ワクワクします。興奮します。ぜひ一読あれ。

《2》三原健一『構造から見る日本語文法』(開拓社)1600円

 生成文法は理論的に言語を追求している分野ですが、理論的分析の前提として、当然ながら言語の記述も行っています。日本語学との違いは、意味よりもむしろ「構造」に基盤を置いて、言語を考えようとしている点にあります。「構造」から日本語を見ると、これまで気づかなかった面白い事実が続々と出てくる、ということを伝えようとしてこの本を書きました。基礎知識は不要です。言語学に興味のある人はもちろんですが、むしろ日本語学日本語教育学に興味のある人にぜひ読んで欲しいと思っています。知らないとソンをする話がぎっしり詰まっています。