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言語社会専攻長からのご挨拶

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言語文化研究科筆頭副研究科長 言語社会専攻長 岡田 新

 大阪大学言語文化研究科言語社会専攻は、平成19年の大阪大学と大阪外国語大学の統合に際し、大阪外国語大学の大学院、言語社会研究科を引き継ぐ形で誕生した専攻です。その後平成24年には、別に設置されていた世界言語研究センターと合流、日本語日本文化専攻が独立して現在の姿になりました。経緯から明らかなように、言語社会専攻は、90余年にわたって大阪外国語大学が掲げてきた「世界の言語とそれを基底とする文化を研究教授する」という使命を継承する大学院ということができます。

 世界の言語とそれを基底とする文化を研究する、という言語社会専攻の理念は、言語を媒介として形成される人間のつながり、その営みの総体を捉えるということを目標として掲げています。今、学問はますます細分化し、研究方法も日々研ぎ澄まされ、精緻になってきています。新たな知の領域を開拓してゆくためには、それは避けることのできない運命といっていいでしょう。しかし日ごとに細分化してゆく学問が、全体像を見失ってしまう危険も一方で拡大しているようにも思えます。これに対して言語社会専攻は、特定の地域、言語圏の文化を総体として把握しようとするホリステイックなアプローチを標榜している、と言うことができるでしょう。それは、言語学、文学、人文社会科学など異なった学問分野に属する専門家が結集し、特定の地域あるいは言語圏の文化が持つ特性を、結束した力で解き明かそうとするインターデシプリナリな学問的協働の先駆けであり、典型でもあります。異なった分野の専門家が、高度な言語運用能力とそれぞれの専門で鍛え抜かれた分析手法を武器に、地域の文化というフィールドを対象に格闘し、ディシプリンの垣根を越えて切磋琢磨するユニークな実験場こそ、言語社会専攻に他なりません。異分野の学問がぶつかりあうだけではありません。世界の24の言語と、それを基底とする文化を研究の対象とする言語社会専攻には、世界のほとんどの地域をカバーする専門家が揃っています。それぞれの研究者は、ずば抜けた言語の力を駆使して、世界の各地の知性を代表する大学や研究者と日常的につながっています。隣接する研究室の扉をたたくだけで、ヨーロッパの研究者がアジアやアフリカ、中東の第一線研究者と縦横に意見を戦わせることができる、まことに稀有な学問的環境を、言語社会専攻は持っています。高い言語運用能力と、学際的なアプローチを基盤とした言語社会専攻は、真の意味で、わが国を代表するグローバルな研究機関なのです。

 こうしたユニークな学問的環境のもとで、言語社会専攻は、次代を担う研究者や実務家を育てるため、妥協のない教育に取り組んでいます。前期課程には、「地域言語文化研究コース」と「高度専門職業人コース」の2 コースが設けられ、前者はさらに「アジア・アフリカ言語文化コース」と「ヨーロッパ・アメリカ言語文化コース」に分かれています。また「高度専門職業人コース」では、英語と中国語の現職教員に対するリカレント教育が行われています。世界の諸地域の言語と文化の研究に従う後継者を育てるため、その上に博士後期課程が設置されています。

 もとより学問は、文献を読み調査に明け暮れる地味で忍耐強い努力です。そこには王道も奇道もありません。とりわけ高い言語能力を基軸とする言語社会専攻では、大学院生は、日々自らを鍛える修練から逃れることはできません。しかし世界の言語と文化の深奥を本当に極めようとする人に、言語社会専攻は、本当の学際的で世界的な知の展望を与え、既存の学問の枠組みを超え、新たな地平を探求する契機を与えることができる、と私は信じてやみません。

平成29年10月

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