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第3回ことばと出会うシンポジウム「あなたを彩ることばはいくつ?~"ふくふく"を生きるということ~」を開催しました

[2025.10.31]

第3回ことばと出会うシンポジウム
 2025年10月19日(日)、「あなたを彩ることばはいくつ?~"ふくふく"を生きるということ~」と題し、第3回ことばと出会うシンポジウムを開催しました。今回のテーマは「複言語・複文化」。自分自身を知らず知らずのうちに彩ってくれている「ことば」の存在に目を向け、その豊かさを再発見していただけるよう企画しました。

今回は初めて、来場者参加型の企画を取り入れました。言語学の手法の1つであり、いろいろな言語や文化と自分との関係を表現する「ことばのポートレート」を描くことを通じて、自身の中の複言語・複文化に向き合っていただくとともに
他の参加者とも共有しあうことで、新たな発見や気付きを得るきっかけにもなりました。

「ことばのポートレート」を描く来場者
「ことばのポートレート」を描く来場者
集まったポートレートの数々
集まったポートレートの数々


シンポジウムは、清水政明人文学研究科外国学専攻長・大阪大学大学院人文学研究科附属複言語・複文化共存社会研究センター長による、センターの活動および理念の紹介から始まりました。今回のテーマである「複言語・複文化」について、「多言語・多文化」との違いの観点から説明がありました。
清水外国学専攻長
清水外国学専攻長
「複言語・複文化」とは何か?
「複言語・複文化」とは何か?

第一部では、卒業生であり、ラジオDJとして活躍中の野村雅夫さんにご講演いただきました。大阪外国語大学でイタリア語を学んだ経験に基づいて、言語を学ぶことの意義について語っていただきました。

野村雅夫さん
野村雅夫さん「ことばを学んで心軽く」
ユーモアたっぷりの語りに、会場は終始明るく楽しい雰囲気に包まれた

続いて、イランにルーツを持ち、俳優やタレントとして活躍なさっているサヘル・ローズさんにご講演いただきました。難民キャンプでの支援活動にも尽力なさっているサヘルさんが翻訳された、現地の子どもたちの「ことば」が会場に静かに響き渡りました。

サヘル・ローズさん
サヘル・ローズさん「コトバと生きる~アナタに宿る言霊~」
難民キャンプの実情と、そこで暮らすこどもたちのまっすぐな「ことば」の数々に、涙を流す方も

第二部は、FUNKISTのボーカリスト・染谷西郷さんによる圧巻の歌唱でスタートしました。南アフリカにルーツを持つ染谷さんには、アパルトヘイトが自身に与えた影響や国境を越えた家族の愛情について、音楽という言語を通じて語っていただきました。当日のテーマに合わせたオリジナルソングや、ジャンプして一緒に楽しめる全員参加のパフォーマンスもあり、大いに盛り上がりました。
染谷さん
染谷さん「音楽という言語」

第3回ことばと出会うシンポジウム
ラストの曲は全員参加で、大学のシンポジウムという概念を覆すような一体感と盛り上がりを見せた

最後に、野村さん、サヘルさん、染谷さんの3名によるトークセッションを行いました。異なる立場・方法で「ことば」と向き合い、伝えることに取り組んできた3名によるトークが繰り広げられました。
さらに、参加者が描いたポートレートのうちいくつかについて、実際に描いた方に直接質問を投げかけるやり取りもあり、「ことば」について考えることをより身近に感じていただきました。
セッションの最後には、筒井佐代外国語学部長も登壇し、それぞれが異なる「ことば」を自分の中に持っていること、その違いを楽しむことについて語り合いました。

トークセッション
トークセッション:
「あなたを彩ることばはいくつ?」
参加者とのやり取り
参加者とのやり取り


トークセッション 参加者とのやり取り
筒井外国語学部長を交えたトーク

参加者からの感想(一部)

・大変に充実した内容でした。箕面に大阪大学外国語学部・大学院がある意味が伝わる内容と思いました。
・言語をツールとしてずっと考えてきましたが、今回お話を聞いたり、ワークを通じて自身の言語と向き合ったりするなかで、その側面がありながらも、単なるツールではないもっと温度感のあるものとして考えるべきだと感じました。
・自身のこれからの生き方を変えるきっかけともなりそうな素晴らしい内容でした。
・複文化・複言語の豊かさ、自分を知ることの大切さを知ることができ、おもしろかったです。
・卒業生です。外国語を学ぶことで視野が広がるということを当時はあまり意識していませんでしたが、今日の講演でそれをあらためて学びました。

ことばと出会うシンポジウムは来年も開催予定です。次回は新たな切り口で、ことばの大切さや面白さを味わえる企画をお届けします。ぜひご期待ください。

(本シンポジウムについて)
大阪大学箕面キャンパスは、OUGC(大阪大学グローバルキャンパス)として、外国学・地域研究等の成果を介して地域の市民と世界を結ぶという使命を担っています。「ことばと出会うシンポジウム」は、市民の方々に「ことば」をテーマとした学びを提供する機会として2023年から開催しているものです。

於:箕面市立文化芸能劇場(東京建物Brillia HALL箕面)大ホール
共催:大阪大学大学院人文学研究科附属複言語・複文化共存社会研究センター
協力:(公財)箕面市国際交流協会
大阪大学日本語日本文化教育センター・同21世紀懐徳堂
後援:箕面市・箕面市教育委員会

★シンポジウム終了後、登壇者のお三方に参加者の皆様からいただいた質問に答えていただきました。野村さんと染谷さんにはお二人でトークを交えながら質問に答えていただき、サヘルさんには文書で質問に対するお返事をいただいています。
野村さんと染谷さんが質問に答える様子を収めた動画とサヘルさんからのお返事は、本ホームページで近日公開予定ですので、楽しみにお待ちください。