2023 6/30 香港大学林姵吟教授講演会を開催しました

 2023年6月30日(金)午後、大阪大学の東京オフィスにて、香港大学の林姵吟教授を講師にお招きし、「以流變(動)物與群島認同:台灣海洋文學的兩種面貌」と題して講演会を実施しました(前日、6/29は愛知大学で実施)。

 

 林教授は導入として、台湾文学の分野で、戒厳令が解かれた1990年代初期、海洋を中心とした視点が続々と取り上げられ、注目度は高まったものの、生態系の保全や、先住民の文化認識論が蔑ろにされるなど、解決を要する問題があったことに言及しました。

 その上で林氏は、廖鴻基、夏曼・藍波安の2名の作家の作品を例に挙げ、検討を行いました。廖鴻基については、廖が鯨類(クジラ・イルカ)に関する作品で鯨類に自己を投影しているが、それは自己発見の契機のみならず、文学における人類中心主義の描写を再構成していると分析しました。2人目の夏曼・藍波安については、彼の海洋作品からタオ族の要素を見出すことができ、長きにわたる漢民族の文化的覇権を批判し、それが他の島嶼文化との、国を超えた繋がりを促していると分析しました。最後に、海洋のイメージや構想が台湾社会にもたらす影響についても取り上げました。

 今回の講演会は、ディスカッションも活発に行われ、オンラインでも同時配信しました。会場参加者・オンライン参加者の協力もあり、多くの交流ができました。


講演会概要
講演タイトル:以流變(動)物與群島認同:台灣海洋文學的兩種面貌
講師:林姵吟氏(香港大学中文学院言文学系副教授兼学系主任)
講演会日程:2023年6月30日(金) 14:00-17:00
場所:大阪大学東京オフィス

2023年07月03日