2024 10/22 国立台湾大学史甄陶先生の講演会を開催しました
2024年10月22日に本講座主催で、国立台湾大学中国文学系副教授史甄陶先生講演会 「〈讀中文系的人〉的當代省思 ―「讀中文系的人」を今、振り返る」を開催しました。
本講演では、史先生が林文月氏の1977年の作品である〈讀中文系的人〉を取り上げ、台湾の最高学府である国立台湾大学の中国文学科のこれまでの発展と現況について述べ、時代背景を踏まえ、中文系の意義について私たちに問いかけました。
史先生は1970年代~80年代の台湾大学中文系の教育課程を示した上で同課程の近年の変化について述べました。
特に、2010年以降においてLiteracy-言語表現と分析能力、Literature-古典解釈能力、Literate-人文素養を重点として、学生の能力を高めることを教育目標として掲げ、「国学の伝承」がもはや第一の重点ではないことを述べました。
また、応用型のカリキュラム増設について、また、今年度新設した「生成式AI的人文導論」と「AI與數位人文研究專題」といった授業について紹介しました。
最後に史先生は、台湾大学中文系が「国学」の枠組みを超え、その重点において理論に加え応用分野、古典文学に加え現代文学、国家・民族への視点を超え個人への視点を持つなど、時代を経て変化し、視野を拡大してきたと分析しました。さらに、中国文学について、作者としての「人」を出発点とし、読者としての「人」の存在について問う学問であること、さらに言えば、人が生きることについてその意義と価値を見出すことが学問として重要であると述べました。また、〈讀中文系的人〉の現代におけるタスクとして最も重要なことは自我の理解にあるとし、ドイツの学者Bultmannの文章を引用しながら、テキスト・文章との関わりを通して理解し、絶えず自己を修正することにより、新たな自我の理解に繋げることにあると述べました。
講演後はゼミ生から終了時間まで質問も出され、学生にとって学びの多い講演会となりました。